ファッションの一部になった香り

ファッションの一部になった香り

香水さりげなく「いい香り」がする人って、素敵です。わざとらしいニオイではなくて、すれ違った時にフワッと香る「いい匂い」です。さりげなく「いい香り」を身にまとえたら、おしゃれを上手に演出できます。

今ではファッションの大切なアイテムとして、「香水の香り」が用いられています。しかし20世紀の初めの頃、香水は体臭をごまかすために使われる物とされていたそうです。

そんな「ごまかし」のために香水が使われるのは、納得がいかない。当時、そう思った女性がいました。ココ・シャネル氏です。
シャネル氏は、「香りはファッションの一部である」という考え方で、調香師に「香水作り」を依頼したそうです。その際、それまでの一つの花による「単純な香りの香水」ではなくて、「心地良い複数の香り」が複雑に絡み合った香水の作成を依頼した、という事です。
そんな「彼女の思い」を実現した香水と言える「No.5」という香水は、現代でも常に香水の人気ランキング上位に入っています。

「宗教目的」や「臭い消し」で使われていた香水

かなりの昔から、香水は存在していました。昔は今みたいにファッションアイテムではなくて、宗教的な道具として使われていました。

その時の時代のニーズに合わせて、香水は自身の価値を変えてきました。例えば中世のヨーロッパでは、香水は主に「臭い消し」として使われるようになりました。中世のヨーロッパは衛生環境がとても悪くて、かなりの悪臭が漂っていました。よって貴族を始めとする富裕層たちは、香水を使って消臭していました。

そんな風に富裕層に使われていた香水は、近代になると低価格になり、嗜好品となってゆきました。そして一般の人が気軽に使えるファッションアイテムになりました。

その人のイメージを変える香り

「身に付ける香り」の種類を変えるだけで、その人のイメージまでもガラッと変えてしまう。

そんなところが、香水の面白いところだと思います。

セクシーなドレスを着ている時に、セクシーな香水を付ける。これはイメージ通りでしょう。ですが、平凡な普段着みたいな洋服にセクシーな香水を付けると、ギャップ感が出て意外性を演出できます。

意外性をうまく演出するのは、ちょっと難しいかもしれません。だけど香水の楽しみ方として、こんな「やり方」も知っておいてほしいと思います。

「一つの香り」を用いた演出

一つ一つは「とても素敵な香り」だけれども、「それらの香り」が集まると嫌な感じがする。これは「香りを取り扱う際の難しさ」と言えます。特に「個性的な香り」が同じ場所に集まると、全体的に「うるさい感じ」になってしまいます。

この場面では、「この香り」が主役である
「一つの香り」を際立たせるほうが、そのイメージは良いかもしれません。香水を用いる際も、「香り」を出すのは「香水のみ」とする。その他の周りにある物は、無臭の物にする。これくらい割り切ったほうが、香りを演出できると思います。

もっと雰囲気を演出したい。そんな時は、照明に凝ってみましょう。例えば無臭のキャンドルなどを、テーブルの上に置いてみましょう。
「香り」と「炎」は喧嘩しない、と思います。それぞれ別の個性を持っており、相乗効果を期待できます。「素敵な香り」と「ゆらめく炎」は、非日常的な雰囲気を演出してくれるでしょう。

香水の付ける場所を変えて演出すること

「香りの演出」の仕方を変えたいなら、香水の付ける場所を変える事で実現できます。
例えば今すぐに「香り」を漂わせたいなら、首筋に付けると良いです。程良く香らせたいなら、手首肘の内側の部分、または胸の谷間あたりに付けると良いです。わずかにほんのり香るようにしたいなら、足首の内側部分に付けてみましょう。

以上のように香水を付ける体の場所を変える事で、香りの漂わせ方に変化を出す事ができます。
あとは、香水を付ける量や香りの系統を選ぶ事で、より自分の希望する演出を実現できると思います。色々と試してみてください。

なお、香水の付け過ぎには注意しましょう。フワッと香る程度で充分です。例えば、手首やウエストの辺りに「ちょっと付ける」だけで良いです。

時間とともに変わる香水の香り方

香水の香り方は、時間が経つごとに徐々に変わってゆきます。
最初に、揮発性の高い「ツンとした香り」がします。香水を肌に付けたら、すぐに香ります。ですが、そのうち飛んで行ってしまいます。

次に、「華やかさのある香り」がします。これは、トップノートと呼ばれている香りです。柑橘系のイメージがする香りです。この香りも、揮発性が高いです。

その後、ちょっと「落ち着いた感じの香り」がします。ミドルノートと言われている香りです。香水の核となる香りになります。この「ミドルノートの香り」は、しばらく続きます。そして、ゆっくりと「香り」がなくなってゆきます。

最後、「かすかな香り」が残ります。この「余韻のある香り」がラストノートと呼ばれるものです。
利用者の立場から言えば、長時間、ずっと同じ香りであってほしいでしょう。ですが実際には、「香り」は変化してゆきます。どのタイミングで「どの香り」を香らせるか、利用者が考慮する事になります。