「肌の若返り」で注目、プラセンタ

胎盤から抽出したエキス

プラセンタのサプリメント

プラセンタは、英語で「胎盤(Placenta)」を意味します。
その語源は、古代ローマ人が、主食であるパンの代わりに食べていたプラセンタという丸い「お菓子」のような食べ物に由来しています。丸い「お菓子」のような食べ物が、胎盤に似ていたそうです。

医療や美容目的で使われているプラセンタという言葉は、もちろん胎盤そのものを指すものではありません。
医療や美容目的のプラセンタは、胎盤から抽出したエキスです。
胎児の生命維持に重要な栄養素や成長因子を含む「胎盤からの抽出物」です。

なお、市販のプラセンタ製品では、豚や馬の胎盤から抽出した物を使用していることが多いです。

組織療法で注目

プラセンタは、1930年代にソビエト連邦のフィラトフ博士が組織療法を発見した際に、注目され始めました。その後もプラセンタが持っている「組織を再生させる効果」に対して、医療目的の研究や開発が行なわれてきました。

その研究と同時に、「肌の若返り」や「老化防止」という美容に対する効果にも注目が集まるようになりました。化粧品メーカーで研究や開発が進み、化粧品に使われているのを始め、美容外科では医療用プラセンタの利用も行なわれています。

このプラセンタは、以前では肝炎や胃潰瘍、更年期障害などの治療に利用されていました。近年になって美肌の効果が注目されて、美容の分野で多く利用されるようになりました。
近頃では化粧品に配合されたり、サプリメントや注射などで摂取されたりしています。エステでも使用されたりと、美容業界で活用されている成分です。

胎盤

プラセンタエキスと関係がある胎盤について、参考にお話したいと思います。

胎盤は、女性が妊娠した時に子宮内に形成される器官です。胎児と母親をつなぐ役割を果たしていることが知られています。
人間の女性に限らず、すべてのメスの哺乳類は、妊娠すると子宮内に胎盤を形成して、母親の胎内で胎児に栄養を与えます。

受胎時に形成される胎盤は、妊娠中に胎児を保護するだけでなく、臍帯(へその緒)を介して母体と胎児の間で代謝物質やガスを交換する役割を果たしています。
臍帯は、胎児の二酸化炭素や排泄物を受け取り、母親の血流に渡すことで処理します。

母体側から胎児に対しては、栄養や酸素の補給を行ない、免疫力や胎児の細胞分裂に欠かせない成長因子の産生などが行なわれます。
このように胎盤は、子宮の中の胎児にとって命の源と言えます。

プラセンタの歴史

プラセンタの活用は新しいことではなく、何世紀にもわたって、特に医療目的で使用されてきました。

紀元前では、医学の父と呼ばれているギリシャのヒポクラテスが、プラセンタを治療薬として使っていました。

4千年前の中国では、乾燥させたプラセンタを産後の回復や栄養補給のための強壮剤として使用していました。乾燥させたプラセンタは、紫河車(しかしゃ)という名前の薬でした。

秦の時代には、始皇帝が不老長寿の霊薬として重宝していた、と言われています。

また、楊貴妃やクレオパトラ、マリー・アントワネットなど、世界で美しい女性たちが「若返り」の薬として使用していたとも言われています。プラセンタの美容効果は経験的に知られていた、と考えられます。

日本では、江戸時代に加賀の三大秘薬の一つである混元丹(こんげんたん)の中に、漢方薬の紫河車が入っていました。

1930年代、ソ連では負傷した兵士の治療のために、胎盤の組織片を皮下に埋め込む研究が行なわれていました。
このソビエト連邦による政府主導の研究は、原材料のプラセンタの問題で中止されました。しかし、この研究でプラセンタの有用性に気づいた研究者がさらに研究を発展させました。

日本では、ソ連でのプラセンタ研究に影響を受けて、独自の研究開発が行なわれました。プラセンタの機能が、徐々に解明されていきました。

現在、プラセンタは医療や健康、美容など幅広い分野で活用されています。

プラセンタの成分

胎盤には、以下のような「様々な栄養素」や「その他の物質」が含まれています。
プラセンタにも、それら栄養素や物質が含まれることになります。

アミノ酸

アミノ酸は、生体組織を構成する成分です。
ロイシン、リジン、イソロイシンなどの必須アミノ酸に加え、アルギニン、アラニンなども含まれています。

核酸

核酸は、細胞の分裂や正常な機能の維持に不可欠な物質です。
その中には、DNAとRNAが含まれています。

活性ペプチド

ペプチドは、アミノ酸が結合したものです。

酵素

主に消化・吸収に必要です。
酵素には、酸性ホスファターゼ、ヒアルロニターゼ、アルカリホスファターゼなど55種類があります。

脂質・脂肪酸

細胞膜や角膜、ホルモンなどを構成する成分です。
コレステロール、ホスファチジン酸、ラウリン酸などがあります。

タンパク質

タンパク質は、アミノ酸が結合してできています。
グロブリンやアルブミンなどがあります。

糖質

糖質は、エネルギー源となります。ガラクトース、グルコース、ショ糖などがあります。

ビタミン

生理機能の調整を行ないます。
様々なビタミンが含まれています。

ミネラル

ミネラルは、体にとって必要不可欠なものです。
カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、リン、鉄が含まれています。

ムコ多糖類

タンパク質を含んだ多糖類の糖質です。
ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸が含まれています。

女性から人気があります

プラセンタは、女性に大人気の成分です。
化粧水を始め、サプリメントなどに使われており、商品名に「プラセンタ」が入っている美容製品もあります。
そのため、スキンケアのために化粧品を選ぶ女性はプラセンタという名前をよく知っている、と思います。

ちなみに、食品としてのプラセンタは知名度が低いかもしれません。美容成分としては、ヒアルロン酸のほうが有名かもしれません。

実はプラセンタは、体を構成する重要な要素のひとつです。サプリとして体に入れることで、美肌効果が得られる成分です。