上品で美味しい紅茶

紅茶の歴史

中国からヨーロッパにやって来た緑茶

紅茶

紅茶は、昔の中国からヨーロッパへ緑茶として伝えられた「お茶」です。

ヨーロッパの人々の好みに合うように、最初は不発酵だった緑茶が、次第に完全発酵の紅茶へと変えられてゆきました。

紅茶の茶葉が採れる木の原種は、ツバキ科の常緑樹と言われています。中国雲南省からチベット、ミャンマー周辺の山岳地帯に自生していた木とされています。

なお当初の中国では、お茶は不老長寿の薬として飲まれていたそうです。薬ではなくて、普通の飲み物として飲まれるようになったのは、6世紀以降の事になります。

そして10世紀に入った頃、紅茶はシルクロードによって中国から中近東方面へ普及してゆきます。シルクロードには陸路と海路があって、陸路のシルクロードを経由した物を「チャ」と呼び、海路を経由した物を「テ」と呼んでいました。

その名残は今もあります。インドやトルコなどでは「チャ」または「チャイ」と呼び、イギリスやフランスなどでは「テ」または「ティー」と呼んでいます。

イギリスで紅茶が広まった「きっかけ」

イギリスで紅茶が普及したのは、1662年にイギリスのチャールズ2世が結婚したことが「きっかけ」でした。

嫁いできたポルトガルの女王キャサリンは、お茶が大好きな人でした。なので嫁入り道具として、お茶や茶器、当時貴重だった砂糖などを持ってきました。
貴重な「お茶」に貴重な「砂糖」を入れて飲むという贅沢が貴族の間で広まり、次第に喫茶が習慣化されていきました。

1689年、イギリス人は中国の広東から茶葉を直接輸入するようになりました。
英国最古の紅茶商であるトワイニングの元となるトムが設立されたのも、この頃です。

1721年には、イギリスの東インド会社が中国の茶葉の輸入をほとんど独占しました。1813年に独占輸入が廃止されるまで、輸入の独占は続きました。
この貿易で得た利益が大英帝国の繁栄の礎になった、と言われています。

1730年代、イギリスではティーハウスが誕生して徐々に紅茶が大衆化していきました。
やがて一般家庭でも紅茶が飲まれるようになり、食料品店で売られるようになりました。紅茶の市場は拡大していきました。

1831年にイギリス人が、当時のインド植民地であるアッサム地方に自生する茶木を発見しました。そして東インド会社が、アッサム地方で茶木の栽培を開始しました。
その後、インドやセイロン(現スリランカ)でも、紅茶の大量生産が行なわれるようになりました。

紅茶の分類

紅茶の分類の仕方として、「茶葉の原産地」「茶葉が収穫された地域」そして「茶葉の等級(グレード)」という3つの分け方があります。

原産地

インド

インドは、世界一の紅茶の生産量を誇ります(2009年当時)。そのインドの紅茶には、「アッサム」「ダージリン」「ニルギリ」があります。

アッサムは、世界最大の紅茶の産地アッサムの紅茶です。
コクのある濃厚な味なので、ミルクティーでいただくと美味しいと言われています。

ダージリンについては、多くの方が一度は聞いた事のある名前でしょう。世界3大銘茶の一つと言われています。
その産地は、ヒマラヤ山麓にあるダージリンです。紅茶のシャンパンと言われているくらいに、「香りと味に上品さ」がある紅茶です。

ニルギリは、南インドのニルギリ高原が産地の紅茶です。
「爽快さを感じさせる香り」であり、その色は赤みのあるオレンジ色です。

スリランカ

スリランカの紅茶の生産量は、世界第2位です(2009年当時)。その種類には、「ウヴァ」「ディンブラ」「ヌワラエリヤ」があります。

ウヴァは、南東部の山岳地帯ウヴァが産地の紅茶です。
その味は「渋み」があって、結構刺激的だそうです。世界3大銘茶の一つ、と言われています。

ディンブラは、先程のウヴァの反対側にある山岳地帯で作られている紅茶です。
その味は優しい味わいであり、その「香り」はバラのような香りです。

ヌワラエリヤは、スリランカの最高地が産地の紅茶です。
飲みやすいクセのない味とされています。その「香り」は、「花のような香り」がします。

茶葉の等級

茶葉の等級については、あんまり知られていないかもしれません。ここで言う等級とは、茶葉の「形」や「大きさ」で分類される事を言います。

なぜ「形」や「大きさ」で分けるのでしょうか。それは、茶葉の抽出時間を同じにしたいからです。

抽出時間は、小さな茶葉なら短時間です。しかし大きな葉になる程、時間がかかります。
美味しい紅茶を入れるためには、一緒に蒸らす茶葉の抽出時間を同じにする必要があります。よって茶葉の「形」や「大きさ」を見て、等級を決めています。

なお一般的に等級と言うと、茶葉の「品質の良し悪し」で決まると思うでしょう。ですがそうではなくて、先程言ったように「形」や「大きさ」で決まります。

3大銘茶の一つ・ダージリン

紅茶の世界3大銘茶は、ダージリン、キーマン、ウヴァです。

その3大銘茶の一つであるダージリンは、「味や香りの上品さ」が特徴の紅茶です。紅茶のシャンパンと言われたりします。

その産地は、インド北東部ヒマラヤ山麓の高地であり、標高2000メートルの場所です。これだけ高い場所なので、昼と夜の寒暖差が大きいです。その寒暖差のために、独特の霧が発生します。この霧が「上品な味と香り」を作り出す、とされています。

収穫時期によって違う味わい

ちなみに「ダージリンの味わい」は、収穫時期によって「違い」があります。

収穫時期の3月から4月に収穫される紅茶の事を、一番摘み・春摘み(ファーストフラッシュ)と言います。
多くが新芽なので、「香り」が若々しいです。ストレートティーでいただくと美味しい、とされています。収穫量は少ないので、貴重です。

収穫時期が5月から6月の物は、二番摘み・夏摘み(セカンドフラッシュ)と言います。
「味」そして「香り」が最良なので、最高級品となっています。その「香り」は独特です。まるで「ぶどうのマスカットのような香り」と言われています。

収穫時期が10月から11月の物は、秋摘み(オータムナル)と言います。
その味は、先の収穫時期の物と比べて、「渋さ」が加わっています。ストレートティーやミルクティーで飲むと美味しいです。

高級品、ゴールデンチップを含んだ紅茶

紅茶で高級品と言われている物に、ゴールデンチップを多く含んだ物があります。ここで言うチップとは、芯芽のことです。芯芽とは、茶葉の先端にある丸まった状態の芽の事を言います。

この芯芽を自然に乾燥させると、まずはシルバーチップと呼ばれる物になります。そして紅茶液でシルバーチップを染めた物が、ゴールデンチップとなります。染める事で、金色に仕上がります。

このゴールデンチップは、スリランカでの収穫量が大変に少ないです。そのため、とても希少価値がある物とされています。よって多くのゴールデンチップを含んだ紅茶は、高級品とされています。

ちなみに希少価値があって高級品と聞くと、簡単に手に入らないと思ってしまいます。
だけど大手のネットショッピングサイトなどで販売されていました。普通に購入できる紅茶と言えます。