「開業届け」を出して、青色申告を始めましょう

個人事業の開業届け

個人としてSOHOや在宅ワークなどのビジネスを始める人は、税務署に「個人事業の開業手続き」をする必要があります。「手続き」は、事業所得・不動産所得・山林所得が生じる事業を開始した日から、1ヶ月以内です。

この「開業届け」を出すことで、青色申告または白色申告によって、減価償却費や給与(事業に専従する親族がいる場合、その給与)を、必要経費にできます。
なお「個人事業の開業手続き」と同時に青色申告を行なう人は、青色申告承認申請書を提出して、青色申告の承認申請手続も同時に行なっておきましょう。

自営している在宅ワーク・SOHO

自宅で仕事する事を在宅ワークと言います。ですがどちらかと言うと「あまり独立自営していない働き方」を在宅ワークと呼んでいるようです。しっかりと独立自営している働き方については、SOHOと呼んでいる場合が多いように思えます。

SOHOでは、自宅がオフィスになります。よって基本的には、出勤する必要はありません。出勤がないので、始業時刻を守るという時間の制約もないと言えます。子育て中の女性や自宅療養中の方、障害者の方などが就労しやすい労働環境と言えるでしょう。
ただしデメリットもあります。緊密にコミュニケーションを取りづらい、勤務時間の管理が難しいなどというデメリットも指摘されています。

ですが、生活と仕事のバランスを考慮した働き方と言えるSOHOは、専門的な技術を持った人が独立する際に、選択できる働き方とも言えます。
SOHOや在宅ワークを始め、様々な働き方が認められる社会になってほしいと思います。

青色申告

青色申告

個人事業を行なう人は、青色申告制度について、ぜひ知っておきましょう。

税の申告には、白色申告と青色申告があります。
そして青色申告制度は、事業所得・不動産所得・山林所得だけに行なえる申告制度です。
なお、青色申告以外の申告は、白色申告となります。

青色申告を行なう人は、予め「青色申告承認申請書」を税務署に提出して、承認を受けておく必要があります。
青色申告承認申請書を提出した後、却下などの報告がない場合、承認されたことになります。つまり申請書を出した時点で、自動承認ということになります。

承認申請書の提出期限は、青色申告を受けようとする年の3月15日です。その年の1月16日以降が業務開始の場合は、業務開始から2ヶ月以内です。

青色申告においては確定申告の際に、

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 青色申告決算書(所得金額の計算明細書)

これらの書類を、確定申告書と一緒に提出する必要があります。

青色申告特別控除

青色申告特別控除とは、所得金額から65万円、または10万円を控除できるという制度です(2009年当時)。
青色申告者の事業所得・不動産所得・山林所得の収入金額の合計から、必要経費を引いて、さらに特別控除額を引いた額を、所得金額にできます。

65万円の控除を受ける場合、以下の条件を満たす必要があります。

  • 事業所得または不動産所得があること。
  • 正規の簿記の原則(複式簿記の原則)で、日々の取引を記帳すること。
  • 確定申告期限内に、申告書を提出すること。
  • 提出した申告書に、貸借対照表と損益計算書を添付していること。そして、青色申告特別控除の額を記載していること。

なお、これらの条件を満たしていない場合は、10万円の控除となります。

事業所得の必要経費

「事業所得の必要経費」には、家内労働者等の必要経費の特例があります。
必要経費の額が65万円未満の場合、最高65万円まで必要経費額とできる特例があります(2009年度)。
この特例が適用される所得しかない人(収入103万円以下の人)については、所得税はかかりません。

ここで言う家内労働者等とは、家内労働法で規定されている家内労働者や外交員、集金人や電力量計の検針人、継続的に特定な人に対してサービス提供業務を行なう人などを指します。

青色事業専従者給与

青色事業専従者給与という制度があります。
青色申告者が、生計をともにする親族に対して給与を支払った時、その支払った金額を必要経費として計上できる制度です。

この制度を使うには、いくつかの条件があります(2009年当時)。

  • 青色事業専従者は、その年の12月31日の時点で15歳以上であること。
  • 1年の中で6ヶ月を超える期間、その青色事業者の事業に従事していること。
  • 提出期限内に、青色事業専従者給与に関する届出書を税務署に提出していること。

なお、青色事業専従者は、配偶者控除や扶養控除を受けられません。

複式簿記

帳簿については、複式簿記の方式で記帳します。この方式は「原因と結果」という両面から、「お金の流れ」を記録する方式と言えます。
例えば、商品を販売して現金を受け取るという取引の場合、売上という収益、現金という資産の増加を、共に記録します。

記帳については、税理士から指導してもらえます。ですが近年では、簿記のソフトを使って記帳する人が増えているそうです。青色申告のソフトは毎年改良されていて、使いやすくなっています。

例えば、ある青色申告ソフトでは「らくらく仕訳入力」という機能を使って、簡単にデータ入力できます。消費税にも対応していて、決算書も簡単に作成できます。

そして青色申告ソフトの中には、サポート付きのソフトもあります。これなら記帳に悩まされる事が少なくなり、安心して本業に集中できるでしょう。会計面から事業主を、しっかりと支えてくれる会計ソフトだと思います。

ここ数年間、私は個人事業主として複式簿記を記入しています。そう出来たのは、パソコンの青色申告ソフトを使っていたからと言えます。もしも「手書き」の帳簿だったら、たぶん記入できなかったと思います。

そして確定申告の申告書作成も、青色申告ソフトで行なっています。
1年ぶりに空白の申告書を見ると、どういう風に記述すれば良いか忘れてしまっている項目があったりします。だけど青色申告ソフトを使えば、そこそこスムーズに申告書を作成できました。

事業の会計処理は、会計ソフトを使うほうが便利と言えます。

節税に有利な確定申告

国民には、納税の義務があります。そして税金には、所得税・消費税・固定資産税など色々な種類があります。それら税金の中の所得税について、申告して納税する必要があります。その「手続き」を、確定申告と言います。
所得税の計算では、一年の1月1日から12月31日までに得た所得に対して、税を計算することになります。

そんな確定申告には、特典があります。なので節税する際、有利と言われています。
そして青色申告をすることは、正しい申告をしようとすることになるので、税制上の特典があります。在宅ワークを始め、個人事業を行なう場合は、このような税制上で有利な点をうまく利用しましょう。

※この記事は2008年当時の記事になります。
「開業届け」や「青色申告」については、最新の法律をご確認ください。