著作権の保護機能を持っているSDカード

音楽や写真などの著作物データを、不正なコピーから守りたいです。

SDカードは、不正コピーを防ぐ「著作権の保護機能」を持っています。

SDカードを使えば、デジタルデータの著作権を保護できます。

SDカードの著作権保護機能

SDカードの「SD」とは、どんな意味でしょうか。

「SD」とは、「Secure Digital」の略とされています。

この名前が示すように、SDカードには、著作権があるデータを保護するための機能が搭載されています。

この機能は、SDカードに保存されたデータが、不正にコピーされたり、改ざんされたりするのを防ぐためのものです。

SDカードの著作権保護機能は、SDカードの規格を定めたSDアソシエーションという団体が開発したものです。
この機能は、SDカードを使用するすべての機器やソフトウェアに対応しています。

SDカード

SDカードが持つ機能、不正コピーを防ぐCPRM

SDカードは、CPRM技術という著作権保護に関する機能を持っています。
その機能により、不正なコピーを実行できないようにしています。

SDカードでは、隠し領域を作って、その中で著作権に関する情報を管理します。

隠し領域であるため、通常のアプリケーションからはアクセスできません。
このような方法で、コンテンツの著作権を保護しています。

例えば、パソコンで音楽データをコピーしたとします。
この時、SDカードの隠し領域に記録されている情報(鍵)をコピーできません。

そのため、音楽データをコピーできたとしても、「音楽再生はできない」ということになります。

なお、パソコンのSDスロットにおいて、著作権を保護できない場合があります。
その時は、著作権を保護できるリーダーライター機器などを利用する必要があります。

SD-Audio規格のデータなど、著作権が保護されているデータを取り扱う場合は、著作権保護に対応できる機器を利用する必要があります。

著作物を守るCPRM技術

CPRM(コンテンツ保護レコードメディア)(※)とは、SDカードなどの記録メディアにおいて、著作物の不正コピーを防止するための技術です。

※Content Protection for Recordable Media.

4C(IBM、インテル、東芝、松下電気産業)によって作られたライセンスのことを言います。

CPRMは、記録媒体に暗号化されたキーを埋め込み、再生機器にも同じキーを持たせることで、著作権者が許可した機器でのみ再生できるようにします。

CPRMは、メディアに固有のID(暗号化されたキー)を埋め込み、著作物と一対一で紐付けることで、他のメディアにコピーされた場合に再生できなくします。

消費者の利便性も配慮しています

CPRMは、著作権者の権利を保護するとともに、消費者の利便性も考慮しています。

例えば、CPRM対応の記録メディアや再生機器を使用すれば、自分で録画したコンテンツを家庭内で自由に楽しめます。

また、CPRMは、録画したコンテンツの品質を保証します。これは、消費者の満足度を高めます。

さらに、CPRMは、著作権者が許諾した範囲内であるなら、インターネットやモバイル端末などにコンテンツを移動させることも可能にします。

著作権

写真データの著作権保護、SD-Picture規格

SD-Picture規格とは、写真データに関するフォーマットを定めた規格です。
SD-Picture規格は、写真データを記録する時や表示する時に利用されるフォーマットです。

このSD-Pictureが使われる機器には、プリンタやデジタルカメラなどがあります。

SD-Picture規格では、SDカード内の専用フォルダに写真データを記録するようになっています。
利用できる写真データの圧縮方式は、JPEG、Motion JPEGです。

また、著作権を保護する技術であるCPRMに対応しています。
よって、不正コピーを防ぐ機能を持っています。

もしかして普及していない?

SD-Picture規格について調べたところ、ほとんど情報や話題が見つかりません。

SD-Picture規格は普及していない、という意見がいくつか見られました。
現在では、この規格に対応した製品は少なく、市場シェアも低いようです。

また、この規格は、日本国内だけで適用されていて、海外では認知されていない、という意見もありました。

以上より、SD-Picture規格は普及していない、と思います。

音楽データの著作権保護、SD-Audio規格

SDカードの応用規格に、SD-Audio規格というものがあります。
CPRMを利用して、音声ファイルを暗号化する規格です。

これは、音楽データを記録する時や、その記録した音楽を再生する時に利用される規格です。

SDカード内に音楽データを記録する際、利用できる圧縮方式はAAC、WMA、MP3となります(2007年当時)。
それら音楽データのファイルを暗号化することで、SD-Audio形式になります。

この規格の特徴は、音楽データの著作権保護に配慮している点です。

SD-Audio規格に準拠した音楽データは、専用のプレーヤーやソフトウェアだけで再生できます。
その音楽データについては、コピーも制限されます。

このように、SD-Audio規格は、音楽データの流出や不正利用を防ぐことができます。

このSD-Audio規格が登場する前までは、音楽データの著作権を保護する仕組みはありませんでした。

なので、アメリカの音楽関係者たちが中心になって、著作権を保護する規格を作る団体を設立しました。
その団体が制定した規格が、SD-Audio規格です。

デジタルデータは配布しやすくて便利ですが、不正コピーという問題が常に指摘されます。
不正コピーを防ぐために、このような規格が登場しました。

普及しなかったSD-Audio規格

しかし、SD-Audio規格には、問題点がありました。

まず、SD-Audio規格は、一般的なMP3やWAVなどのフォーマットと互換性がありません。

そのため、消費者は自分の好きなデバイスやソフトウェアで、SD-Audio規格の音楽を聴くことができない場合がありました。

結局、SD-Audio規格は普及せず、2008年頃では使われなくなりました。
音楽ファイルの消費者から、人気がなかったようです。

実際のところ、音楽配信サイトでは、DRM(※)フリーの楽曲が配信されました。
※Digital Rights Management:音楽・映像の利用やコピーを、制限する仕組みです。

SDカードの著作権保護機能のメリット

著作権

著作権保護機能は、消費者にとってはちょっと使いづらくて、面倒に思える機能です。

特に、著作物を正しく購入した場合、自分が利用する目的で自由に著作物をコピーできないのは、とても不便です。

不便に思えるSDカードの著作権保護機能は、以下の二者に対して、どんなメリットがあったのでしょうか。

  • 著作物を制作する著作権者
  • 著作物を利用する消費者

少し考えてみました。

著作権者の創作意欲や収入を保護する

現代社会では、インターネットやデジタルメディアが普及して、著作物の流通や消費が容易になりました。

しかし、それと同時に、著作物の不正コピーや海賊版も容易になりました。

これは、著作権者の創作意欲や収入を奪う原因となります。
広い意味で、文化産業の発展を阻害する原因となります。

SDカードが持つCPRM技術は、著作物の不正コピー問題に対処するために開発された技術です。
CPRM技術は、著作権者が自分の作品を安心して配信できる環境を提供します。

作品を安心して配信できる環境は、著作権者の創作意欲や収入を保護します。

自分が購入した著作物を、ある程度、自由に楽しめる

一方で、CPRM技術は、著作物を利用する消費者も尊重しています。

消費者は、自分が購入した著作物を、ある程度、自由に楽しむことができます。

また、CPRM技術は、著作物の多様な形式やプラットフォームへの対応が可能です。
例えば、以下の動作に対応できます。

  • 音楽や映像などの異なる種類の著作物を、同じSDカードに保存する。
  • スマートフォンやパソコンなどの異なる機器で、音楽や映像などを再生する。

著作物の保護と利用のバランスを取る、著作権保護機能

以上のように、CPRM技術によるSDカードの著作権保護機能は、
著作物の保護と利用のバランスを取るために役立つ技術だと、私は判断しました。

著作権保護機能によって、自由にコピーできないのは不便だけど、著作権者の創作意欲や収入のことを考えると、必要な機能と言えます。