投資活動に役立つ、景気の波

「金回りの良し悪し」と言える景気

経済の専門家ではない普通の人たちでも、日常の会話でよく「景気が良い」「景気が悪い」なんて言います。特に商売人でもないのに「景気」という言葉を使うのは、ちょっと面白いかもしれません。

ちなみに日常会話で使われている「景気」という言葉は、英語に訳するのがちょっと難しいと聞きました。ここでいう景気とは「ビジネスの良し悪し」ではなく、日常生活の「金回りの良し悪し」や、それに伴う「人間関係の良好さ」を言っている可能性があるからです。この「曖昧さ」は日本的な言葉かもしれません。

そんなふわふわした日常会話の景気という言葉について、その景気の動向を予測するのは、これまたふわふわしていてよくわかりません。天気予報のほうが、まだ理論的に予想しやすいかもしれません。

投資と関係がある、景気の波

景気は投資と関係がある、と思います。景気が悪いと言われると、投資する意欲も低くなっていると思います。
逆に景気が良いと言われると、投資に対する意欲が高くなっていると思います。

バブル景気の時期(おおよそ1986年12月から1991年2月まで)などは、多くの人が競うように株などの投資商品を購入していたと思います。
その当時、資産価格はイケイケだったと聞きます。購入した資産がすぐに高騰して、高額で転売できたみたいです。投機に対する「意気込み」はすごかった、と聞きます。
しかしバブルが弾けると、株価の低迷などが続きました。バブルということより、泡が弾けて経済は崩壊しました。そして一気に平成不況に突っ込んで行きました。

景気は変動するものである、と言われています。まるで波のように思えます。
例えばバブルの最中では、その波に乗っていることに気づかないものですが、その後振り返ってみると、景気が変動する様子がはっきりとわかります。景気は循環的に変動が見られる、と言われています。
そのような景気の変動は、投資に対しても大きな影響を与えています。

局面の見方については、色々あるようです。その一つの見方に購買意欲がある、と思います。人々の購買意欲に見られる波が、そのまま景気の変動になっているように感じられます。
もしも景気の波を理解できたら、投資活動にも役立つでしょう。例えば、景気が悪化すると予想できたら、そうなる前に株を売却して利益を確定できるからです。

この景気の波については数値で測ることができたら、とてもわかりやすいでしょう。ですが意外と人の感覚に頼って、「景気の良し悪し」を判断しているようです。

それでは景気の波を肌で実感している人たちとは、どのような人たちでしょうか。よく言われているのは、「タクシーの運転手さん」や「小売店の店長」などです。彼らは消費者たちの購買意欲に、とても敏感です。日々の仕事の中で、「景気の良し悪し」を肌で感じている人たちと言えるでしょう。

実際に景気調査の一つである街角景気調査では、そのような人たちの感覚を参考にして調査しているそうです。IT化が進んだ現代なら、景気の動向をコンピューターのような機械が判断してくれそうなものですが、まだまだ人の感覚というアナログに頼っているようです。

景気ウォッチャー調査

景気ウォッチャー調査とは、2000年1月から始まった調査です。仕事を通じて地域の景気動向を観察できる立場の人を対象にして、内閣府が実施する調査です。別名「街角景気調査」と言われています。
現在の景気が3ヶ月前と比べてどうであるか、「良い」「やや良い」「変わらない」「やや悪い」「悪い」の5段階で評価を聞き取ります。そして、その結果を指数化します。

景気ウォッチャー調査は、速くて正確な景気動向調査として定着しています。鮮度の良い景気動向をつかむことができます。政府が月例経済報告を行なう時の判断材料としても、重要視されているようです。

景気動向調査は、中小企業や銀行、商工会議所、地域の役所などが内閣府の景気ウォッチャー調査に準じて行っています。その結果は、インターネット上で簡単に見ることができます。
調査結果は基礎資料として、施策を効果的に行うために用いられているようです。地域や関連業種の景気動向調査は、事業者にとって非常に重要な経営上の参考資料となります。

景気循環

投資をしていると気になる景気のサイクルについて、お話したいと思います。
景気循環とは、循環的に見られる景気変動のことです。景気は長期的に見ると、上昇と下降を繰り返します。上昇し続けたり下降し続けたりすることは無くて、変動しています。
景気が上昇している状態を「好景気」、景気が下降している状態を「不景気」と呼んでいます。

景気循環には、4局面に分ける考え方と2局面に分ける考え方があります。
4局面の場合、「回復」「好況」「後退」「不況」の4局面に分割する考え方です。正常な水準から出発して、「好況」「後退」「不況」「回復」を経て、再び正常な水準に戻るまでを1循環とします。
2局面の場合、「拡張局面」と「後退局面」の2局面に分割する考え方です。景気拡大の最高点が山、後退局面の最悪点が谷です。谷から谷までを1循環とします。

そして景気循環には、次の4種類のサイクルが存在しているとされています。

  • キッチン・サイクル(キチンの波):主に、企業の在庫変動に起因するとされており、約40ヶ月という比較的短い周期のサイクルです。在庫循環短期波動とも言われています。
  • ジュグラー・サイクル(ジュグラーの波):約10年周期の設備投資サイクルです。中期波動とも言われています。
  • クズネッツ・サイクル(クズネッツの波):約20年の周期の建設需要に起因するサイクルです。
  • コンドラチェフ・サイクル(コンドラチェフの波):長期波動とも呼ばれている、約50年から55年の周期のサイクルです。技術革新の波や物価の波などと考えられています。

ちなみに、これら4つのサイクル(4つの波)が全て上昇に向かうと、好景気を期待できるそうです。

景気動向指数

景気動向指数では、3つの指数「先行指数」「一致指数」「遅行指数」が使われます。それぞれが示すことは、次の通りです。

  • 先行指数:数ヶ月先の景気の動き。
  • 一致指数:景気の現状。
  • 遅行指数:半年から1年遅れで反応する指数のこと。

景気動向指数は、景気が「上向き」か「下向き」かについて総合的に示す指標です。景気局面を判断したり予測する時や、景気の山・谷の判定に用いられます。景気動向指数は、景気の現状把握や将来予測などに役立てるために作られた総合的な景気指標です。

景気動向指数には、DIとCIがあります。通常利用される指数は、DI(ディフュージョン・インデックス、景気動向指数)です。CI(コンポジット・インデックス、景気総合指数)は、景気動向を量的に把握したい時に、使われているようです。

DIは、景気の拡大を示している指標の割合のことです。3ヶ月前との比較を用いて、拡大を示す指数の数を数えます。その数を採用している指数の数で割り、割合を出します。
景気転換点の目安は、50%です。一致指数が3ヶ月以上連続して50%を上回っていれば、景気拡大局面とします。下回っていれば後退局面とします。

庶民のほうがわかっている、景気の良し悪し

「景気がずっと拡大し続ければ、投資で儲かりやすいのに」。
ついそんな事を考えてしまいます。
ニュースや経済の専門家たちが「景気は良くなるはず」と言っても、実際には良くならないことが多いです。
そして逆に「日本の財政が破綻する」と言われていても、なかなか財政は破綻しません。日本ではなくて、他の外国で金融危機が起きたりします。

景気の動向については、案外庶民のほうがわかっているかもしれません。庶民は消費者なので、自身の購買意欲をよく知っています。大雑把に言えば、みんなが買い物に積極的になれば景気はアップすると言えます。

そんな庶民の景気動向を読み取れる人は、商売はもちろんのこと金融商品の売買でも稼げる気がします。人間観察力が鋭い人は、ビジネスや投資で稼げる人と言えそうです。