秋田の郷土料理・きりたんぽ鍋

きりたんぽ

「きりたんぽ」とは、秋田の郷土料理です。

すりつぶした「ご飯」を杉の棒に巻きつけて、焼いた物です。

きりたんぽテレビのグルメ番組などで囲炉裏を囲んで焼いている風景を、ご覧になったことがあると思います。
「きりたんぽ」の棒は秋田杉から作られていて、焼きあがった後、棒を抜くと「ちくわ」の形のようになります。

ちなみに地元の人は、「きりたんぽ」と呼ばないそうです。「たんぽ」と呼んでいるそうです。
また、家庭で一から作る料理かと言ったらそうでもないようです。秋田のスーパーなどで売られている市販の物を使うようです。

「きりたんぽ」の発祥

秋田の熊猟師たちが、ゴッタ煮の鍋の中に「おにぎり」や「おこげ」などを入れて食べた事が始まりと言われています。
昔、猟師さんたちが、山小屋で「ご飯の残り」を練った物を「きのこ類」と一緒に鍋に入れて食べていたそうです。また、味噌を塗って食べたりもしていたそうです。この猟師さんの鍋料理が、「きりたんぽ」の始まりだと言われています。
ただし実際のところ、「きりたんぽ」の発祥は、よくわかっていないようです。「きこり」と「猟師」の説があります。これらに共通する点は、どちらも残った「ご飯」を使った事です。

「きりたんぽ」という名前については、「きり」は切るという事で、鍋に入れる際、切って入れた事からその名がつきました。
「たんぽ」については、槍の刃の部分のカバーの名前です。棒に巻きつけた形が「そのカバー」に似ている事から、「たんぽ」と名付けられました。
このように二つの意味が、「きりたんぽ」という一つの名前(造語)になりました。

ご飯と言える「きりたんぽ」

「きりたんぽ」は、よく「お餅」と勘違いされるそうです。しかし材料は「うるち米」なので、ご飯という事になると思います。※もち米を、少し混ぜる場合もあります。

例えば「きりたんぽ鍋」と聞けば、ご飯の「おかず」というイメージがあると思います。ですが「きりたんぽ鍋」に関しては、「きりたんぽ」そのものが「お米」で作られているので、主食と言えるでしょう。鍋が「ご飯」ということになります。
ちなみに食事としては、鍋料理は簡単で作りやすいでしょう。後片付けも鍋だけなので、楽でしょう。

もしも品質にこだわるなら、材料を「あきたこまち」などにしても良いでしょう。なお、地元の人の中には、「あきたこまち」は比較的最近出てきた「お米」なので、それで作る事は伝統的でないと考える人もいるようです。
また、その他の考え方として、新米で作る「きりたんぽ」だけが本物である、という考え方もあるようです。

「きりたんぽ」の食べ方

「きりたんぽ」という食材の食べ方について言うと、まず鍋の材料として食べます。「きりたんぽ」の一般的な食べ方は、やはり鍋で食べる事と言えます。
他には、味噌をつけて焼いて「焼ききりたんぽ」にして食べたり、鶏がらの「だし汁」に入れて煮込んだりして食べます。

なお秋田県内では、学校給食に「きりたんぽ」が出てくるそうです。食事のメニューにおいて、地域色が出る事はとても面白い、と思いました。

また、ある観光地では、「きりたんぽ」を味噌で焼いた「みそたんぽ」が売られています。これは、かなり美味しい食べ物ですが、「きりたんぽ」の別の食べ方と言えるでしょう。

きりたんぽ鍋

きりたんぽ鍋とは、秋田の郷土料理「きりたんぽ」を使った鍋料理です。秋田県の中でも、大館市が「きりたんぽ」の本場とされています。秋田県民にとっては、鍋と言えば「きりたんぽ鍋」と言うくらい代表的なものです。居酒屋だけではなくて、一般家庭の食卓でも、きりたんぽ鍋がよく出るようです。

この「きりたんぽ鍋」は、「きりたんぽ」を鶏肉と醤油スープの鍋に入れた鍋料理です。

きりたんぽ鍋「きりたんぽ」の他の具材には、比内地鶏(ひないじどり)、ごぼう、きのこ類(まいたけ)、糸こんにゃく、しらたき、長ねぎ、セリなどがあります。
山の幸をたっぷり煮込んで仕上げると、とても美味しい鍋料理です。

「鍋の味付け」については、比内地鶏のガラで「だし」を取り、濃い口しょうゆ、酒、砂糖で味付けする事が一般的です。

きりたんぽ鍋のレシピ

きりたんぽ鍋のレシピを、ご紹介したいと思います。

材料

  • きりたんぽ …… 2本から3本。
  • 鶏肉(もも) …… 150g。
  • ごぼう …… 50g。
  • しめじ …… 1パック。
  • しらたき …… 1袋。
  • 長ねぎ …… 1本。
  • セリ …… 適量。
  • 水 …… 2カップ。
  • 料理酒 …… 少々。
  • みりん …… 少々。
  • しょうゆ …… 少々。

作り方

  1. 「きりたんぽ」を斜め切りにして、食べやすい大きさにします。鶏肉、しめじ、長ねぎ、セリを、食べやすい大きさに切ります。
  2. 「ごぼう」を、ささがきにします。「しらたき」を水で洗います。
  3. 鍋に水、しょうゆ、料理酒、みりんを入れて煮立たせます。煮立ったところで、鶏肉、ごぼう、しめじ、しらたきを入れます。
  4. 鶏肉に火が通ったら、「きりたんぽ」と「長ねぎ」を入れます。全体に火が通ったら、セリを加えて出来上がりです。

きりたんぽ鍋の「だし」としては、醤油ベースの地鶏の「だし汁」が一般的だそうです。具材については、「焼いたきりたんぽ」の他には、野菜や鶏肉も一緒に煮込みます。
また昔は、鶏肉では比内鳥(ひないどり)を使用していましたが、天然記念物に指定されたために食べる事ができなくなったそうです。そこで比内鳥を品種改良して、比内地鶏(ひないじどり)を作りました。現在では、その比内地鶏の肉を鍋に使っているそうです。

きりたんぽ鍋の作り方に、「正しいきりたんぽ鍋の作り方」というものはありません。極端に言えば、鍋に「きりたんぽ」を入れたら「きりたんぽ鍋」になる、と言えるかもしれません。
作り方には、人それぞれ「微妙な違い」があるかもしれません。でも基本的な作り方は、大体決まっています。基本的な作り方を参考にして、自分なりにアレンジしてみると良いでしょう。

秋田出身以外の人に、この「きりたんぽ鍋」を作ってあげると、とても喜ばれると思います。思ったよりも簡単に作れるので、ぜひ料理してみましょう。

ワイワイ楽しい鍋料理

鍋料理は、おもてなしの料理に向いていると思います。親しい仲間と集まって、鍋をつつきながらおしゃべりするのは楽しいです。
もてなす側も、とりあえず材料を揃えておけば鍋料理ができるので、手間がかからず楽でしょう。料理を作るだけで「おしゃべり」に参加できない、ということもないでしょう。

また市販の食品において、きりたんぽ鍋のセット商品が発売されています。「きりたんぽ」を始め、地鶏スープ、ごぼう、糸こんにゃく、まいたけ、ねぎ、セリがセットになっていたりします。このようなセットなら、初めて「きりたんぽ鍋」を作る人でも簡単に作れるでしょう。

ところで食事と言えば、食欲の秋と言われる事より秋の季節が一番だと思います。だけど冬の季節も、美味しい食事がたくさんあります。その中の一つは、やはり鍋料理でしょう。冬は寒い季節ですが、ご当地の鍋料理を食べるために旅行をするという人もかなりいる、と思います。
そして、冬に食べたい「ご当地鍋料理(2008年当時)」において、きりたんぽ鍋が第3位だったと聞きました。きりたんぽ鍋は、寒い季節がとても似合う鍋料理の一つと言えます。