日常生活から不思議な世界へと読者を導く、「藤子・F・不二雄」先生
ドラえもんが活躍する場所は、日常生活でした。
だけどよくよく考えると、ドラえもんが存在する世界はちょっと不思議な世界です。
「藤子・F・不二雄」先生の舞台は、日常生活が基本となっています。
だけど読者は、日常生活から不思議な世界の物語に、いつの間にか引き込まれています。
不思議なキャラクターが日常生活で活躍する、藤子・F・不二雄ワールドを楽しみませんか?
きっと楽しいひと時を過ごせます。
日常生活から不思議な世界へと読者を導く、藤子・F・不二雄ワールド
「藤子・F・不二雄」先生は、みんなから親しまれる数々の素晴らしい作品を、世に送り出してきました。
それは、少し奇妙で不思議なキャラクターが、日常の素朴な生活の中で繰り広げる、夢あふれる世界の物語です。
先生の作品の舞台は、ほとんど日常生活が基本となっています。
先生は、どんなに不思議な世界を描こうとしても日常から離れてはいけない、と考えていたようです。
そのように描くことで、読者が自然と漫画の世界へ(非日常的な不思議な世界へ)、引き込まれるのです。
漫画というものは、主人公の目線に読者の目線を合わせることで、さらに楽しく読むことができると思います。
読者は、物語の中の主人公に共感することで、自分が主人公と同じ体験をしているみたいに感じます。
そのようにして、読者を物語の世界に引き込んでいきます。
未来の世界も冒険の世界も、日常世界があるからこそ、不思議な世界になります。
それが「藤子・F・不二雄」先生が作り出した、誰もが夢を見られる世界だったと思います。
日常から非日常的な世界への「流れ」は、先生が描き上げた数々の作品に共通しているようです。
例えば「ドラえもん」では、何をしてもうまくいかない男の子「のび太」がいる日常の世界に、未来という未知の世界から、不思議なネコ型ロボットが現れます。
この時点で、日常から掛け離れていくことになります。
このようなミスマッチな世界こそ、藤子・F・不二雄ワールドの最大の魅力と言えます。
「藤子・F・不二雄」先生の遺作、のび太のねじ巻き都市冒険記
「藤子・F・不二雄」先生は、「のび太のねじ巻き都市冒険記」を執筆中に亡くなられました。
しかし先生が残しておいた「メモ書き」によって、藤子プロが「この作品を完結させること」ができました。
「のび太のねじ巻き都市冒険記」のあらすじ
この作品では、「のび太たち」は緑いっぱいの小惑星に、「ぬいぐるみ」たちのための楽園を作ります。
しかし「熊虎鬼五郎」が乱入することにより、「のび太たち」にピンチが迫る、というストーリーです。
このようなストーリーの展開は、それまでの大長編ドラえもんに共通しています。
ここで「のび太」は、36億年前に地球と火星に「生物の種」をまいた「種まく者」と出会うことになります。
「種まく者」は、人間によって環境が破壊されそうになっている地球の未来は、「のび太たち」にかかっている、と告げます。
そして「のび太」は、その試練に立ち向かうことを決めて、熊虎鬼五郎など恐れず、未来を作り上げていこうとするのです。
また、悪人である熊虎鬼五郎にも、良心があることを知らされるのです。
困難に立ち向かって未来を作ってほしい、というメッセージが込められた作品
この作品を通して感じることは、
- 現実に「どのようなことが起こった」としても、希望を決して捨ててはいけない
ということだと思います。
この作品には、
- 困難が訪れたとしても、
- それに立ち向かって行き、
- これからの未来を作って行って欲しい
という子どもたちに向けた、先生の熱いメッセージが込められています。
倒れる直前まで先生は、この作品に命を吹き込んでいたと思います。
ぜひ、この作品をご覧になってください。
「藤子・F・不二雄」先生没後のドラえもん映画の評価
1996年に「藤子・F・不二雄」先生が亡くなってからも、大人気となっていたドラえもんを、決して終らせることはできませんでした。
そして毎年春にドラえもん映画を上映するために、藤子プロによって毎回舞台を設定して制作され続けました。
しかし、そのようにして製作された作品に対するファンの評価は、「藤子・F・不二雄」先生自身が手掛けた作品に比べて、あまり良くなかったようです。
それまでの「大長編ドラえもん」には、
- 先生の子どもの頃からの好奇心や、
- 「ドラえもん」に対する独自の考え方、
- 「子どもたち」への心のこもったメッセージ
が凝縮されていました。
ところが「その想い」は、もう二度と作品に込めることはできません。
なので、どんなに優秀なスタッフが製作しても、それまで以上の作品を作るのは難しいということです。
例えば「南海大冒険」や「ふしぎ風使い」という「どちらの作品」も、設定が少し安易な感じがします。
参考:「南海大冒険」の主題である、「無人島」「宝探し」「マリンアドベンチャー」という事は、先生が自ら短編で何度も扱ってきたものです。
「ふしぎ風使い」も、短編の「台風のフー子」を原案にしています。
だけど「これらの作品」にも、「ドラえもん」に託した先生の夢の土台が必ず込められているはずです。
「ドラえもん」には、この夢が込められているからこそ、子どもから大人まで何世代も超えて愛されています。
リニューアルしたドラえもん映画、のび太の恐竜2006
2005年にリニューアルしたドラえもん映画の第一作目は、原点に戻るという意味を込めて「のび太の恐竜2006」になりました。
この映画は、大筋のストーリーはほとんど変わっていませんが、時代と共に進化したアニメ技術を駆使した、スリルあふれる作品に仕上がっています。
もちろん、
- 「ドラえもん」と「その仲間たち」との友情や、
- 「のび太たち」が夢のある冒険により成長するという
「藤子・F・不二雄」先生が守りたかったテーマも、しっかり盛り込まれています。
今後も「ドラえもん」を愛するファンにとって、「大長編ドラえもん」が「どんな展開」を見せてくれるか、期待したいと思います。
先生の少年時代からの歴史がわかる、藤子・F・不二雄展
2008年2月26日から5月25日まで、杉並アニメーション・ミュージアムで
- 「夢は無限 藤子・F・不二雄展」
が開催されました。
この「不二雄展」では、複製原画や写真などを解説付きで展示して、信念を持って描き続けた「藤子・F・不二雄」先生の作品を紹介していました。
作品の展示は、先生の少年時代から歴史を振り返りながら見ることができて、その軌跡を辿ることができます。
1948年から1958年の展示では、
- 先生の「漫画人生の始まり」となる富山県の高岡時代から、
- トキワ荘で仲間たちと切磋琢磨して、漫画家の道へ本格的に進んだ頃の写真など
を展示していました。
また、「ドラえもん」が誕生した頃の展示では、「ドラえもん」が誕生したエピソードを、当時の資料とともに知ることができます。
そして「ドラえもん」が映画化されて、大ヒット作品となった「大長編ドラえもん」を手掛ける際に込められた、先生の夢見る世界を覗くことができます。
1988年からの展示では、長年のパートナーであった藤子不二雄(A)先生とコンビを解消して、新しい人生が始まった頃の「先生の想い」を、感じ取れます。
懐かしい映像を楽しめた、藤子・F・不二雄劇場
また、「藤子・F・不二雄劇場」では、
- 「ドラえもん」を始め、
- 「エスパー魔美」や「チンプイ」を、
アニメシアターで上映していました。
懐かしい映像を楽しめたと思います。
「ドラえもん」の様々な展示があった、ドラえもんおもしろパーク
「ドラえもんおもしろパーク」では、
- 「ドラえもん のび太の緑の巨人伝」の紹介や、
- 「ドラえもん」についての様々な展示
をしていました。
今後もドラえもんファンのために、このような展示会が開催されたら嬉しいと思いました。