胃腸の漢方薬

胃炎の症状

胃炎胃炎になる一般的な原因としては、ストレスが挙げられます。その他、アルコールやタバコも原因となるでしょう。

胃炎の自覚症状は、腹痛や胸やけ、満腹感などがあります。「痛み」は持続しないようです。食事をした後、2時間から3時間ほど過ぎた頃に、「痛み」を感じる事が多いようです。その時間帯は、食べた物が胃から腸へと移動する頃と考えられます。つまり胃の中が空っぽになると痛み出す、と言えます。

あと、胃炎や胃潰瘍などの胃腸に関する病気になると、口臭が強くなる事が多いです。胃腸が消化不良を起こして、食べ物が胃腸の中に残ったままとなるからです。残ったままの食べ物は発酵してしまい、そこで嫌なニオイが発生します。そこで発生したニオイの物質は腸管から吸収されて、結局肺から息と共に排出されます。これが嫌な口臭の元となります。

胃腸の漢方薬

胃炎の漢方薬

胃炎や胃潰瘍の症状に対して、漢方薬の使用は、症状の改善を期待できます。
胃炎や胃潰瘍の人は、「みぞおち」を軽く押した際、「抵抗感」と「痛み」を感じることが多いようです。このような症状があり、体力が充実している人の場合、「ハンゲシャシントウ」や「オウレントウ」という漢方薬が用いられます。
一方、体力がない人の場合は、「ニンジントウ」や「リツクンシトウ」が用いられるでしょう。

「肋骨」と「お腹」の境の部分を押した際、「抵抗感」と「痛み」がある人において、体力が充実している人に対しては、「サイコケイシトウ」を用います。

また、お腹からピシャピシャという振水音がして、急性胃炎の人に対しては、「ゴレイサン」という漢方薬が良いでしょう

胃炎や胃潰瘍が慢性化した場合、「へそ」の下の辺りを押すと「抵抗感」や「痛み」を感じることがあります。これは、漢方医学において「ショウフクコウマン」と言われている状態です。この場合では、「アンチュウサン」「サイコケイシトウ」を用います。

胃潰瘍の治療に漢方薬

胃潰瘍という病気は、治療してもその後再発することが多い病気と言われています。一度胃潰瘍にかかってしまうと、一生胃潰瘍と付き合っていくことになると言われていたりします。再発率が高い病気なので、非常に厄介な病気と言えます。

胃潰瘍の「再発率の高さ」は、その人の性格と深い関係がある場合が見られます。ストレスに弱い性格の人は、胃潰瘍の再発率が高いそうです。もしもストレスが原因で繰り返し胃潰瘍になっているなら、漢方薬による治療を検討してみましょう。なぜかと言うと漢方薬では、体と心の両面から治療することを目指しているからです。

漢方では胃潰瘍を治す薬だけでなくて、ストレスを和らげる薬も同時に処方されます。胃潰瘍を繰り返す根本的な原因となっているストレス、つまり心に対しても治療を行ないます。
胃潰瘍という症状に対して、漢方では胃袋だけの問題とは捉えません。心の状態、ストレスの軽減も考慮して治療してゆくことになります。西洋医学の薬では胃潰瘍を完治できなかった人は、漢方薬も試してみましょう。もしかしたら完治できるかもしれないからです。

胃腸風邪

胃腸風邪(感染性胃腸炎)を治す薬は、基本的に存在しないです(2012年当時)。よって薬を使わず、自然に症状が治まるまで安静にしているほうが良い、という意見もあります。そう言えば胃腸風邪になった人の話を聞くと、「市販の下痢止め」を飲んでも「たいして効き目がなかった」と言っていました。

今のところ、治す薬は無い。そう理解していても、ツラい症状が少しでも楽になってほしい。そう願う人も多いでしょう。そのような場合、漢方薬を試してみましょう。完治はできませんが、胃腸風邪の症状を軽減させる事はできるかもしれません。

胃腸風邪の際に処方される漢方薬として、半夏寫心湯(はんげしゃしんとう)や柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)などがあります。
半夏寫心湯は、胃腸薬になります。柴胡桂枝湯は、胃痛や腹痛があって食欲不振という症状を緩和するのに用いられます。
これらの他にも、漢方薬には胃腸風邪の症状を緩和してくれる薬が多数あります。近所に漢方を取り扱っている薬局があれば、ぜひ薬剤師さんに相談してみてください。

腹痛の漢方薬

漢方薬は、子供の腹痛に対しても効果を期待できます。例えば「ショウケンチュウトウ」という薬は、お子さんの腹痛に対して広く用いられています。
「お腹の冷え」が激しい場合では、「トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ」や「トウキシャクヤクサン」が用いられます。

「サイコケイシトウ」は、風邪による腹痛に用いられます。
「ケイシカシャクヤクトウ」は、便が軟らかくて、残便感がある場合に用いられます。

ただし「痛み」がひどい場合や、飲み続けてもほとんど効果が出ない場合には、すぐに病院へ行ってください。腹痛の中には、食中毒や虫垂炎(盲腸)、腸閉塞など、すぐに処置する必要がある病気によって起きている場合があるからです。
あと、自分たちで症状を判断できない場合も、すぐに専門医に診せるようにしてください。

下痢の漢方薬

乳幼児が下痢を起こした場合については、急性、慢性を問わず、漢方薬の効力を期待できます。特に下痢が長期化している場合には、漢方薬を試してみてください。

例えば、慢性の胃腸炎で体力のない子供に対しては、「ニンジントウ」と「シンブトウ」を合わせて用います。これらは、普段から食欲がなくて冷えやすい虚弱児に向いている、と言われています。
一方、急性で発熱や腹痛を伴う下痢の場合は、「オウレントウ」が用いられます。

なお多くの場合で、まずは乳幼児を医者につれて行き、医師の診察を受けることが大事です。そして漢方薬が適切かどうか、医師と相談してください。