家族や社会全体で行なって良い介護

気をつけたい「介護者の健康」

在宅で親の介護を行なう時、親の状況を把握することは大事です。それと同じくらいに、介護者の状況を理解することも大事と言えます。どうしてかと言うと、介護者の疲労が溜まっていく一方なら、将来的に「介護そのもの」が成り立たなくなってしまうからです。

よって、在宅で親の介護を行なっている場合では、介護者の健康にも気をつける必要があります。介護者本人が心身ともに健康であることが、介護を続けてゆくために大切と言えます。
そのためには介護者の本人が、自分の食事の栄養バランスに気をつける、充分な睡眠を取る、軽い運動をする、ということが大切です。

介護をするために家に閉じこもって、親と一緒の時間ばかりを過ごす。これは、介護者にとっても親にとってもいいことではありません。
自分の健康については、自分しかわかりません。もしも本当に体調が悪い時は、無理をせずに周りの家族などに協力を求めるようにしましょう。

介護は、毎日続くものです。ですから、どうしても「息抜き」のようなことが必要になります。息抜きもせずにずっと介護をしていたら、介護をしている人の負担が大きくなります。自分を始め、他の家族も、肉体的精神的な苦労があるということを理解する必要があります。

家族や社会全体で行なう介護

「自分の親の介護だから、自分が責任を持ってやるべきだ」

このような気持ちを持つことは、決して悪いことではありません。しかし100%自分だけで、なんとか介護しようとすることはやめるべきです。一人で悩まず、「家族みんな」で話し合って、できるだけ負担を分かち合いましょう。

そして他人の力も借りましょう。親の介護ということで、家族だけで完璧にしなければならないと考えるかもしれません。しかし実際のところ、完璧にこなすことは無理な話です。

現在では、介護は一人でするものではありません。複数の人または外部の人に委託しても良いという認識が、一般的に受け入れられてきています。
いくら実の親であっても、一人で介護をすることは大変なことです。もしも一人で「介護の悩み」を抱え込んでしまうと、親ではなくて介護をする子供が倒れてしまうかもしれません。

要介護の程度によっては、専門家の知識と技術が必要な場合があります。自分や家族だけで、全ての介護を行なえない場合もあります。

介護サービスの利用

親の世話をすることは、自分の生活の一部を介護に使うということです。終わりの見えない介護生活の中で「自分の時間が奪われている」という気持ちが出てくると、その介護は苦痛となります。
親の世話をするために自分の時間が犠牲になるのは仕方がない、そうわかっていてもストレスとなって蓄積されていきます。そのストレスが、年老いた親や他の家族との人間関係を壊してゆきます。

介護

親の介護を在宅で行なう場合、家族全員の協力が必要です。それぞれの役割分担を決めて、みんなで協力する必要があります。
そして家族だけで出来ない事も、たくさんあります。公共のサービス民間のサービスを利用することも、検討しましょう。

介護については、短期で終わるとは言えません。なので、長く続けられる工夫をしていきましょう。
自分だけで親の介護を何とか出来るという場面は、実は「それほど多くない」ということを理解する必要があります。周りの家族の協力や介護の専門家に任せるという場面も、作っておく必要があります。そうしないと長続きしないでしょう。

親の介護は、単なる怪我人の介護ではありません。親を介護することは、その後の人生に付き合うということです。介護の過程では、自分ひとりの力では乗り越えられない問題があって当り前と言えます。病院や介護支援施設などに、ぜひ相談してください。

一昔前だったら、介護の有料サービスをしてくれる所は少なかったです。でも、介護保険の普及などによって、様々な選択肢が出てきました。

近年では公的な介護機関だけでなく、介護サービスの分野に参入する民間企業も増えてきました。その中で、介護保険の対象となる健康・医療サービスから、食事の宅配や家事代行などの細やかなメニューまで、さまざまなニーズに対応したプログラムが数多く登場しています。
そのような介護の有料サービスを、積極的に活用しましょう。

介護のサービスを利用することで、介護をする方・介護される方のどちらにとっても、毎日が楽しくて明るく過ごせるようになることが良い事です。

介護の専門家と相談

介護が必要になる原因は、脳血栓などの病気や、事故による怪我などが考えられます。心の準備をする時間もなく、突然介護問題に遭遇する事例もあり、戸惑うこともあります。

このような場合には、適切な機関に相談して解決策を見つけるのが一番です。あなた自身がケアの問題に直面している場合は、まずは介護の専門家にアドバイスを求めると良いです。
もしも専門家がいない場合でも、地方自治体の公的介護サービスに連絡できます。これは公共のサービスなので、アドバイスは無料です。

介護について疑問がある場合は、できるだけ身近な人に聞いてみることをお勧めします。自分一人で解決できると思うのは素晴らしいことですが、「サポートしてくれる知り合い」がいるほうが心強いです。介護する際のストレスに負けないようにすることが大切です。

やはり、専門家や知り合いという「外とのつながり」を持つことは大切です。介護に追われる毎日は精神的にも肉体的にも疲弊し、明確な出口がないことに悩むこともあるでしょう。
しかし社会には、協力してくれる人がいます。大勢で介護を考える環境は重要です。