「眠り」を誘うメラトニンというホルモン

睡眠メラトニンというホルモンは、「眠り」を誘う効果があることで知られています。そして体温と脈拍、血圧を低下させる作用もあります。

メラトニンは、人間の睡眠や覚醒のリズムを調整する作用を持っています。人間の脳の中にある松果体(しょうかたい)から分泌されます。メラトニンによって覚醒と睡眠のサイクルをうまく調整することで、自然に眠くなれます。

人におけるメラトニンの血中濃度について言うと、昼では低い、夜になると高いです。この濃度は概日(がいじつ)リズム(サーカディアン・リズム)を示しており、睡眠と関連しています。
メラトニンの分泌量は、光の変化によって調整されます。日の光が強い昼間では、メラトニンの分泌量が減ります。光がなくなる夜間では、分泌量が増えます。この分泌量の増減が、人間の睡眠にとても関係しています。
なのでメラトニンは、「不眠」や「時差ぼけ」の解消などで使用されています。例えば、時差ぼけ予防の薬にもなっています。

このメラトニンの分泌には、トリプトファンセロトニンという成分が関係しています。
アミノ酸の一種のトリプトファンは、脳内物質であるセロトニンを作る原料となります。そしてセロトニンが分解されることで、メラトニンの分泌を促します。
なおトリプトファンは、バナナや牛乳などに含まれています。

ところで、牛乳は不眠症を改善したい人にとって最適の食品だと思います。セロトニンという、脳を眠りに導く作用がある成分が含まれているからです。そして、神経過敏によるイライラを抑えてくれるカルシウムも含まれているからです。
不眠症を改善するために牛乳を飲む場合は、寝る前に温めて飲むようにしてください。

なお、メラトニンというホルモンは脳の松果体だけではなくて、植物からもわずかな量を採取できます。また、化学合成でも作り出せます。

サプリからのメラトニン摂取

アメリカにおいては、メラトニンは熟睡するのに効果的なサプリメントとして注目されています。栄養補助食品サプリメントとして販売されており、安価で購入できます(2008年当時)。
そして不眠治療としても、用いられています。ちなみにメラトニンには、「睡眠薬のような副作用」はありません。

メラトニンは、人間の体の中で自然に作られるホルモンです。夜になったら眠り、朝になったら目覚める、という規則正しい生活を送れているなら、メラトニンのサプリメントなどを摂取する必要はないです。
しかしメラトニンの分泌量は、年齢とともに減少します。また、不規則な生活をしていると、メラトニンが正常に分泌されない場合があります。まだ暗い、朝になる前に目が覚めてしまう方は、もしかしたらメラトニンが不足しているかもしれません。

「寝付きの悪さ」を解消する方法として、夜寝る前にメラトニンのサプリメントを摂取する方法があります。そうすると、スムーズに寝付けるかもしれません。「寝付き」が良くなれば、「睡眠不足の悩み」を軽減できるでしょう。
なお、睡眠障害がひどい場合は、サプリを飲むよりも、やはり専門医に診てもらいましょう。

個人輸入で買えるメラトニン

ところでインターネット上の個人輸入サイトで、睡眠薬と呼ばれている物が販売されたりしています。この睡眠薬とは、主にメラトニンというホルモン成分から作られている物だったりします。

アメリカなどでは、メラトニンのサプリメントが栄養補助食品として販売されています。誰でも買う事ができます。しかし日本では、業者がメラトニンを製造したり販売したりする事は禁止されています(2008年当時)。
例外的に、個人が海外から輸入する事については、個人の責任で行なうという事より許可されています。つまり個人なら、通販で購入できます。ただし、信頼できる通販業者から購入したほうが何かと安全でしょう(トラブルに巻き込まれないでしょう)。

当然メラトニンのサプリメントは、医師が処方する薬ではありません。なので、実際に不眠症を解消できる効果があるかどうか、よくわからないと言えます。サプリを購入する際、その点を理解しておきましょう。

個人的な体験談になりますが、アメリカのメラトニンサプリを服用していた時、睡眠中に悪夢をよく見ました。昆虫に腕を食べられる夢などです。定期的に悪夢を見るのが嫌だったので、メラトニンのサプリを飲むのをやめました。