アザの治療が「きっかけ」だった、レーザー脱毛の歴史

レーザー脱毛の歴史

レーザーによる脱毛の歴史について、お話したいと思います。その開発は、アザやシミのレーザー治療が「きっかけ」でした。

1983年、ハーバード大学のアンダーソン氏が「選択的光熱融解理論」を提唱しました。これは、光は特定の色素細胞を選んで破壊するという理論でした。
アンダーソン氏がアザのレーザー治療を行なっていた時に、治療した部分に毛が生えてこないという事実に気づきました。この事実に着目したのが始まりです。

その後、グロースマン氏がアンダーソン氏の研究を受け継ぎました。そして1996年、グロースマン氏がルビーレーザーを用いた脱毛器を開発しました。世界初の脱毛器でした。
ただし「このレーザー脱毛器」は、東洋人には不向きでした。東洋人などメラニン色素の多い有色人種に対しては、過剰反応を起こしたからです。

1997年、アメリカのフルモント氏が、ロングパルス・アレキサンドライトレーザー(LPIR)の開発に成功しました。これは、有色人種にも対応できる物でした。
これが、サイノシュア社製のアレキサンドライトレーザーです。日本にも導入され、高額であったのに注目を集めました。

レーザー光

レーザー脱毛で使用されている「レーザー光」とは、人間によって人工的に作られた特殊な光です。自然の光の中には、存在していない物です。
レーザーは「LASER」と表記されます。これは、次の頭文字から作られた造語です。

  • Light(光) Amplification(増幅) by Stimulated(励起) Emission(放出) of Radiation(放射)。

日本語で言うと、「放射の誘導放出による光の増幅」となります。

光の放出には、「自然放出」と「誘導放出」の2種類があります。
「自然放出」とは、電子が自然に低い状態に落ちて光を放出することです。
「誘導放出」とは、光が来ると、その光と同じ波長と位相で光を放出することです。

誘導放出

レーザー光線誘導放出では、一つの光が来ると、波長と位相が揃った光を二つ放出します。

向き合わせた二枚の鏡により、誘導放出されたレーザー光を折り返すように反射させると、波長と位相が揃っている光が大量に発生します。これを「増幅」と言います。
この「増幅した光」を取り出すと、強力なレーザー光となります。
波長が単一で干渉性がある(位相が揃っている)ことは、レーザー光の特徴と言えます。

レーザー脱毛のレーザー光

レーザー脱毛で使用されているレーザー光について、ご紹介したいと思います。

アレキサンドライトレーザー

シミ取りなどの治療に用いられています。脱毛にも効果があります。

スーパーオーロラ

インテンス・パルス・ライト(IPL)を使った治療法です。医療レーザー治療とは区別されており、光脱毛などと呼ばれています。

ダイオードレーザー

脱毛を目的として開発された半導体レーザーです。他のレーザーで効果が出なかった部分に対して、使われることが多いです。日本人の肌質や毛質に向いているレーザーと言われています。

ルビーレーザー

脱毛用のレーザーとして、アメリカで初めて開発されたレーザー光です。
エネルギーが強いため、日本人を始めとするメラニン色素の多い東洋人には用いられません。

ロングパルスYAG(ヤグ)レーザー

皮膚の表面の反応が少ない、という特長を持っています。黒人などのようなメラニン色素が濃い人に対しても、脱毛の効果があるとされています。