人気があるけど厳しい、声優という職業

声優という職業

女性の声優

アニメなどで活躍している声優さんたちを見て、「自分もなりたい!」と思う人がいます。

アニメに関する仕事の中でも、声優という職業は人気があります。
仕事の範囲について言えば、アニメで声を演じるだけでなくて、曲を出してライブをしたり、ネットラジオのパーソナリティをしたりと、幅広いようです。

声優になりたい人は専門学校に通って、ボイス・トレーニングなどの様々な科目を学習しているそうです。
タイミング良くセリフを言い切り、そのアニメの登場人物が本当に話しているように演じるので、とても特殊で難しい仕事だと言えます。

アニメ業界の「ある専門学校の校長」が、声優関連の就職事情について次のように話していたそうです。
「声優・漫画家は、やる気よりも実力勝負になってきます」。
華やかなイメージがある声優ですが、やはり厳しい仕事と言えます。

難しい職業

声優は、とても難しい職業と言われています。
例えば一昔前で声優になる人は、放送劇団や舞台役者として活躍していた人がほとんどでした。つまり、役者として経験を積んだ人がする仕事でした。

現在では、声優自体の人気が高まっているため、役者出身の方以外にも声優になる人が増えてきています。専門学校や声優事務所の養成所など、声優を養成するための専門施設を経て、声優になる人が多くなって来ているようです。

しかし、それら専門の施設を卒業した後、実際に声優になれる人は一割未満と言われています。やはり声優という職業は、道が狭き門と言えます。

主な声優の仕事

実際に声優になれたら、仕事をこなしてゆくことになります。仕事としては、次のようなものがあります。

アフレコ

ダイナミックマイク

声優の仕事で最も多い事は、「アニメなどの吹き込み」や「洋画の日本語・吹き替え」でしょう。

これらの仕事は、アフレコやアテレコとも言われている作業です。アニメなどの映像に合わせながら、それぞれが担当するセリフを収録します。声優の基本と言える仕事です。

声優の場合、声だけで演技をするので、ちょっと練習すれば誰にでも出来るかも?と思う人がいるかもしれません。
しかし実際には、とても難しい仕事だそうです。

例えば話題のアニメなどに「アイドル」や「お笑い芸人」が声優として出演した時、その人だけが「浮いた雰囲気」となってしまうことがあります。声で芝居することは、実はとても難しいそうです。

なお、アニメや洋画などのアフレコについては、出演する声優が同じスタジオで同時に吹き込むことが多いそうです。なのでアフレコ現場でのコミュニケーションも、大事でしょう。

ナレーション

声優の仕事の一つに、ナレーションの仕事があります。ナレーションは、一般の人が耳にする機会の多い仕事と言えます。テレビやラジオのCM、テレビ番組中に流れるナレーションを、声優が行なっている場合があります。

ナレーションについては、アニメ以上に高い技術が必要であると言われています。そのためか、ベテランの声優さんがナレーションを行なっている場合が多いそうです。ギャラについては、アニメなどに比べると「高め」の設定となっているそうです。

ゲームや舞台

その他の仕事として、ゲームのキャラクターに声を当てる仕事もあります。
ゲームの場合は、音声をデータとして扱うので、個別でセリフを吹き込むことが多いようです。

また、劇団などに所属して舞台活動を行なったり、俳優としてテレビドラマに出演したりすることもあります。

声優のキャスティング

声優のキャスティングについては、アニメの制作者側にキャストの希望がある場合は、最初に「その声優」にオファーを出すようです。

特にキャストの希望がない場合は、オーディションを行なうことが一般的のようです。
オーディションでは、声優が候補となる役にエントリーして、製作者側がエントリーされた役を参考にして、キャスティングを行なっていくようです。

オーディションの一つの「やり方」には、主役級のキャラクターについてはオーディションを行ない、残りの端役についてはキャスティング会社などに依頼する、という方法もあるようです。

このようなオーディションにおいては、たまに声優から「最初は、主人公役でオーディションを受けたけれど、ライバル役としてキャスティングされた」というコメントが、出されることがあります。

このコメントを参考にすると、希望する役でオーディションを受けた場合でも、声優とマッチするキャラクターが別にあった場合は、違う役として採用される場合があると言えそうです。

売上と関係があると言えるキャスティング

例えば新作のアニメ作品が発表される時、誰が「どのキャラクターを演じる」のか、気になる人が多いようです。特に原作があるアニメの場合、誰が自分の好きなキャラクターを演じるのか、気になるようです。

一番嬉しいことは、自分の好きな声優が、自分の好きなキャラクターを演じてくれることでしょう。仮にそうではなくても、最低限キャラクターのイメージに合う声優をキャスティングしてほしいと願っているようです。

なお近年では、このようなキャラクターのイメージ重視のキャスティングと共に、人気声優を起用することが、その作品の「売りの一つ」になっていることがあります。
なぜなら、声優自身にファンが付いているからです。売上を求められるビジネスにおいては、そのようなキャスティングもあると言えます。

声優の報酬

ところで声優を職業として考えた場合、声優の報酬はどのようになっているのでしょうか。
声優の主な仕事であるアニメや洋画、ゲームなどの「吹き替え」の報酬については、ランク制という制度によって規定されているそうです(2009年当時)。

毎年4月、「日本芸能マネージメント事業者協会」(通称「マネ協」)と「社団法人音楽制作者連盟」(通称「音制連」)の協議によって、ランクが定められます。

通常、キャリアを重ねたり人気が上がったりすると、ランクが上がるようです。しかし逆に、下がる場合もあります。
アニメ1本分(30分)については、最低ランクのギャラと最高ランクのギャラが、決められています。そして最高ランクの上には、「上限無し」のノーランクというランクも設定されているようです。

このランク制には、60歳以上に対してランクを下げられないという決まりがあるそうです。この決まりによって、キャリアを重ねた声優は、高ランクに位置することが多くなります。
これについて、長年のキャリアが認められるという点で良い事と言えます。

しかし、悪い影響を与えることもあります。アニメや吹き替えに充分な予算がない場合、ベテラン声優を起用することが難しくなってしまうからです。続編の作品なのに、キャストを変更させる「きっかけ」になってしまう、という弊害もあるそうです。

ちなみに「このランク制」は、アニメと洋画、ゲーム以外には適用されません。
そのため、CMなどのナレーションの仕事をたくさんする声優のほうが、アニメで人気のある声優よりも高年収である事例も見られるそうです。

注目されている「声優という職業」

一昔前では、アニメなどに詳しい人たちだけが関心を持っていた声優という職業は、今では一般的になってきました。そしてアイドル声優と呼ばれる人たちが登場したり、CDランキングに声優や、アニメのキャラクターCDがランキングされたりするようになりました。

声優と言えば、アニメでキャラクターの声を演じている人というイメージが強いかもしれません。しかし声優の仕事は、アニメだけではありません。

洋画やゲーム、ドラマCDを始め、テレビ番組やCMのナレーションなど、声で演技することが主な仕事となります。
さらに活躍の場を広げて、役者や歌手、ネットラジオのパーソナリティなどとして活躍されている方もいます。

そうは言っても難しい仕事であり、まだまだ特殊な仕事と言えるでしょう。ですが昔と比べて、声優は一般的な仕事になり、注目を集める仕事の一つとなりました。