10回までコピーできるけど孫コピーを規制、ダビング10
ダビング10では、結局何回コピーできますか?
ダビング10では、10回までコピーできます。
ただし、孫コピー(二世代目のコピー)を許可していません。
ダビング10という仕様は、一般の人にとって不便と言えます。
コピーワンスに代わって、ダビング10が運用開始
2008年7月より、ダビング10が運用開始となりました。
それ以前では地上デジタルテレビジョン放送において、コピーワンスという一度しかコピーできない仕様でした。
それが10回まで、コピーできるようになりました。
詳しくはコピーを9回、ムーブを1回できるようになりました。
不便だった、コピーワンスのダビング制限
コピーワンスでは、「録画したこと」が「1回コピーした」と判断されました。
よって他の媒体、例えばDVDに対して、録画した物をコピーできませんでした。
2回目のコピーと判断されるためです。
コピーワンスと呼ばれているルールが登場した理由は、デジタルデータの場合、短時間に大量にコピーを作れるからです。
コピーによる海賊版の流出などを規制するために、ダビングの制限が必要という判断がなされたようです。
この規制のために、総務省の委員会がデジタル放送の録画はダビングなし、という制度を作りました。
しかし「ダビングなし」では使い勝手が悪いということで、各方面から不満が出ました。
その結果、少し緩和されてダビング10という案が登場しました。
ダビング10では、10回コピーできるようになりました。
孫コピーを規制している、ダビング10のコピー規制
コピーワンスでは、一世代のみコピーが可能となっています。
それとは違ってダビング10では、孫コピー(二世代目のコピー)まで許可しているのでしょうか。
実際のところ、許可していません。
コピーワンスと同じように、一世代目のコピーが行なわれた時点で、そのデータをコピー不可として処理します。
つまりダビング10という仕組みでは、孫コピーを規制しています。
その仕組み自体は、それほど複雑ではありません。
基本的には、コピーワンスと同じだからです。
コピーワンスは、一回だけコピーが可能という仕組みに思えます。
しかし厳密には、「一世代のみコピーが可能という考え」の下で設計されています。
例えば、地上デジタルテレビジョン放送の番組をDVDレコーダーやハードディスク録画機器に録画した場合、これを一世代目のコピーとします。
この時点で、録画された放送データはコピー不可のデータとして処理されます。
よってコピーワンスでは、DVDレコーダーやハードディスク録画機器から別のメディア(DVDなど)へ、録画できないことになります。
録画した物を一世代目のコピーと判断しないこと、ダビング10とコピーワンスの違い
ダビング10がコピーワンスと違う点は、デジタルチューナー搭載のハードディスク録画機器に保存した時点では、一世代目のコピーと判断しないという点です。
別メディアへ9回までコピー可能、ダビング10
ダビング10では、デジタルチューナー搭載のハードディスク録画機器に保存した時点では、一世代目のコピーと見なしません。
これによって、デジタルチューナー搭載のハードディスク録画機器については、次のコピーが一世代目のコピーとなります。
なので、別メディアへのコピーが可能となっています。
ただし、デジタルチューナー搭載のハードディスク録画機器から、別のデジタルチューナー搭載のハードディスク録画機器に移動させた場合は、その時点でコピー不可のデータとなります。
以上が、ダビング10の大まかな仕組みです。
コピーを9回、ムーブを1回というダビング10の根拠
ダビング10はコピーを9回まで、ムーブを1回まで許可するという規制です。
この回数は、携帯プレーヤーと関係があるそうです。
このコピー9回、ムーブ1回の根拠に、各プレーヤーや携帯端末というポータブルデバイスへのコピーが考慮されているようです。
大まかに言うと、
「ポータブルデバイスへのコピーを考慮して一人当たり3回。
そして、一世帯における視聴者の数は平均3名。
なので、3×3=9回のコピーが妥当」
という事です。
なんとなくわかったような、わからないような、何とも言えないコピー回数となっています。
「ポータブルデバイスの登場で、コンテンツにおける娯楽が多様化している」という事を考慮しているようです。
しかし3回という数字には、なぜ?と思う人も多いでしょう。
特に、コンテンツに対してきちんと料金を支払っている人にとっては、上記のような根拠を言われても、コピー回数やムーブ回数を制限される事は、やはり不自由と言えます。
アナログ映像出力のコピーは緩和された、ダビング10
ダビング10の特徴の一つに、アナログ映像出力の管理が緩和されている点が挙げられます。
コピーワンスにおいては、ハードディスクレコーダーに録画している映像に関して、アナログ出力では録画できませんでした。
ダビング10においては、一世代のみのコピーに限定されますが、回数は無制限で行なう事ができるようになりました。
- D端子
- S端子
- コンポジット端子
これらのアナログ映像出力を経由したコピーに関しては、無限に行えます。
ただし、DVDなどのリムーバブルメディアに関しては、通常と同様にコピー不可としてメディアに記録されます。
そのため、光ディスクからのアナログ出力は録画はできない状態になります。
アナログ出力で録画する場合、端子によっては標準画質となってしまいます。
ハイビジョン画質ではないので、解像度が劣化する事になります。
地デジの美しい映像に慣れてしまった人にとっては、解像度の劣化は気になってしまうかもしれません。アナログ出力で録画する際は、その点に注意しておきましょう。
消費者にとっては不便、ダビング10のコピー規制
ダビング10は、新しく作られたルールと言えます。
その「きっかけ」は、地上デジタルテレビジョン放送の登場です。地デジの録画に関して、新たに設けられたルールと言えます。
放送や録画に関して技術がどんどん発達したのですが、その技術による弊害(高画質でコピーできてしまう事)を抑え込むための制度と言えるかもしれません。
ちょっと皮肉を込めて言えば、ダビング10は、録画が高画質になった分だけ、わざと「コピーを不便にする仕組み」と言えます。
個人的には、コピー規制は利用者にとって不便だと思いました。
だけど、もう20年以上、ダビングをしていないので、個人的に困る事はないです。
近年ではテレビの録画を、ほとんどしなくなりました。
録画をしてまでテレビ番組を見ないので、コピー規制に関しては他人事となっています。
そんな状況だけれども、「ダビング10という仕組み」が、もう少し消費者にとって優しいものであってほしいと思います。
ダビング10がテレビ業界の売上を守るための規制だとしても、一般の人にとっては、やはり不便だからです。