孫コピーを規制しているダビング10

ワンスコピーからダビング10

ダビングのイメージ画像

ダビングのイメージ画像

2008年7月より、ダビング10が運用開始となりました。
これまで地上デジタルテレビジョン放送においては、ワンスコピーという一度しかコピーできない仕様でした。それが10回まで、コピーできるようになりました。

実は当初、2007年12月20日に、ダビング10の内容が正式に公表されました。
この日の前から、地上デジタルテレビジョン放送の録画規制に関しては、不満の声が挙がっていました。なのでダビング10は、コピーワンスと比べて規制緩和になるという事で、歓迎されるはずでした。

ところが、著作権者への私的録音録画・補償金制度などの問題があり、別の方面から不満の声が噴出しました。
この著作権者への私的録音録画・補償金制度とは、著作権法において、個人あるいは家庭内で楽しむ分の複製に関しては問題にしないが、デジタル方式の録画に関しては一定割合で補償金を徴収する、という制度です。

そして「この補償金」に関して、録画回数が1回から10回に変わるなら、補償金は増えて当然だという意見が出されたのです。
これに対しては、メーカーが大反発しました。その結果、ダビング10は当初2008年6月2日から運用が開始される予定でしたが、7月5日まで延期される事になりました。

なお、DVDなどのデジタルメディアには、その購入時の代金に「その補償金」が含まれています。
その場合、DVDで録画するなどデジタル方式の録画を行なう場合は、知らないうちに補償金を支払っている、ということになります。

ダビング10のコピー規制

コピーされたDVD

たくさんコピーできたらいいのに……

コピーワンスでは、一世代のみコピーが可能となっています。それとは違ってダビング10では、二世代目のコピーまで許可しているのでしょうか。

実際のところ、許可していません。
コピーワンスと同じように、一世代目のコピーが行なわれた時点で、そのデータをコピー不可として処理します。

コピーワンスとの違い

ダビング10がコピーワンスと違う点は、デジタルチューナー搭載のハードディスク録画機器に保存した時点では、一世代目のコピーとしないという点です。

ダビング10は、新しく作られたルールと言えます。その「きっかけ」は、地上デジタルテレビジョン放送の登場でしょう。地デジの録画に関して、新たに設けられたルールと言えます。

放送や録画に関して技術がどんどん発達したのですが、その技術による弊害(高画質でコピーできてしまう事)を抑え込むための制度と言えるかもしれません。ちょっと皮肉を込めて言えば、便利になった分だけ「不便にする仕組み」と言えるでしょう。

別メディアへの移動が可能

ダビング10では、デジタルチューナー搭載のハードディスク録画機器に保存した時点では、一世代目のコピーと見なしません。
これによって、デジタルチューナー搭載のハードディスク録画機器については、次のコピーが一世代目のコピーとなります。なので、別メディアへの移動が可能となっています。

ただし、デジタルチューナー搭載のハードディスク録画機器から別のデジタルチューナー搭載のハードディスク録画機器に移動させた場合は、その時点でコピー不可のデータとなります。
以上が、ダビング10の大まかな仕組みです。

コピーを9回、ムーブを1回の根拠

ダビング10はコピーを9回まで、ムーブを1回まで許可するという規制です。この回数は、携帯プレーヤーと関係があるそうです。このコピー9回、ムーブ1回の根拠に、各プレーヤーや携帯端末というポータブルデバイスへのコピーが考慮されているようです。

大まかに言うと、「ポータブルデバイスへのコピーを考慮して一人当たり3回。そして、一世帯における視聴者の数は平均3名。なので、3×3=9回のコピーが妥当」という事です。
なんとなくわかったような、わからないような、何とも言えないコピー回数となっています。

「ポータブルデバイスの登場で、コンテンツにおける娯楽が多様化している」という事を考慮しているようです。しかし3回という数字には、なぜ?と思う人も多いでしょう。
コンテンツに対してきちんと料金を支払っている人にとっては、上記のような根拠を言われても、コピー回数やムーブ回数を制限される事は、やはり不自由と言えます。

孫コピーを規制

ダビング10という仕組みでは、孫コピーを規制しています。その仕組み自体は、それほど複雑ではありません。基本的には、ワンスコピーと同じだからです。

ワンスコピーは、一回だけコピーが可能という仕組みに思えます。しかし厳密には、「一世代のみコピーが可能という考え」の下で設計されています。
例えば、地上デジタルテレビジョン放送の番組をDVDレコーダーやハードディスク録画機器に録画した場合、これを一世代目のコピーとします。この時点で、録画された放送データはコピー不可のデータとして処理されます。
よってワンスコピーでは、DVDレコーダーやハードディスク録画機器から別のメディア(DVDなど)へ、録画できないことになります。

消費者にとっては不便なコピー規制

個人的には、コピー規制は利用者にとって不便だと思いました。だけど、もう20年以上、ダビングをしていないので、個人的に困る事はないです。近年ではテレビの録画も、週に2番組くらいです。それほどテレビを見ないので、コピー規制に関しては他人事となっています。

そんな状況だけれども、「ダビング10という仕組み」がもう少し消費者にとって優しいものであってほしいと思います。ダビング10がテレビ業界の売上を守るための規制だとしても、一般の人にとっては魅力がない、と言えるでしょう。

ダビング10移行の影響

このダビング10が当時与えた影響として、どういう事が考えられるでしょう。

まず2008年から2009年の期間では、特に影響はなさそうでした。
この時期は、まだ地上デジタルテレビジョン放送だけではありません。アナログ放送も放映されていました。多くの人がアナログ放送を利用しているので、ダビング10は「それほど一般には浸透していなかった」というのが現状でした。

2011年7月に、地上デジタルテレビジョン放送に移行しました。その1年前くらいから(2010年7月頃から)、ダビング10の影響が出始めました。消費者が、「ダビング10の仕組み」に関心を持ち始めました。

録画機器の買い替え

地上デジタルテレビジョン放送やダビング10の開始などに当たり、これまでテレビを買い換えていなかった人は、テレビを買い換える必要が出て来ました。
そして録画機器に関しても、2005年以前に買った物は全てワンスコピーとなるので、ダビング10対応の録画機器に買い換える人が出て来ました。

このような「買い替え」が起きると、テレビやレコーダーなどのシェアに影響を与えます。つまり、各家電メーカーの競争が激化する事を意味します。家電メーカーの「これまでの勢力図」が、変わってしまう可能性があります。

各メーカーは、地デジへの転換・ダビング10への転換を「きっかけ」に、「デジタル部門の見直し」を行ないました。その結果、今まで全く無名だった家電メーカーが、一気に注目を集めたりしました。

大きな問題なし

ダビング10の運用が開始されて、録画機器の新しい規制に関しては一応の決着がつきました。
しかし「このダビング10」に、引き続き不安を抱いている人は多いでしょう。以前と違うルールができた事に対して、戸惑った人は多かったと思います。

ただし実際には、普通に生活していく中で、同じ番組を10回以上コピーする機会は、ほとんどないと言えるでしょう。
今後はネット経由のストリーミング映像で、映画やドラマを見る事が増えてゆくと思います。そうなるとコピーする機会は、ますます減ってゆくでしょう。

よって2011年以降、ダビング10が表舞台で目立つようになっても、大きな問題に発展することはなさそうです。