大冒険な物語、映画ドラえもん

大長編な物語、映画ドラえもん

映画館「大長編ドラえもん」と呼ばれている長編の漫画は、「ドラえもん」の劇場用アニメ映画の原作となります。この大長編はストーリーが大規模になっている点が、短編のドラえもん映画と比べて違います。

大長編では、大昔や他の惑星などという、日常から掛け離れた世界が舞台となっています。そして、その世界で出会う住人や手強い敵など、たくさんの登場人物が現れます。

また、毎回タイトルに「ドラえもん のび太の~」と付けられているように、主に「のび太たち」の活躍と成長の様子が描かれています。
いつもの「のび太」は、何をやってもダメな少年です。だけど冒険の世界に入ると、勇気を持って敵に立ち向かっていく、かっこいい少年になります。
また、いつも乱暴なジャイアンは、好人物になることもあります。

ちなみに、短編のドラえもん映画の舞台は、ほとんどが町内という狭い環境であり、友達数人だけでストーリーが進みます。

5人で協力します

大長編では、ドラえもん・のび太・しずかちゃん・ジャイアン・スネ夫という、メインの人物は5人に固定されています。そして基本的に「その5人」は、今回の物語の中心人物と共に、「自分たち」の力で危機から脱出しようとします。

一方の短編では、のび太は、いつもジャイアンやスネ夫にバカにされて、「しずかちゃん」など他の友達のところへ逃げていくことが多いです。

しかし大長編では、いつも5人だけで行動して、日常の他の友達などは入ってきません。
ジャイアンに対して頭にくることがあっても、結局は仲間になります。このように、人間関係が短編とは少し違っています。

普段の物語ではいつもダメな「のび太」でも、映画の中では大活躍します。そんな姿を見ていると、なんだか元気づけられます。

のび太の恐竜

1979年に「ドラえもん」の放映がテレビ朝日で開始されたことで、一気にドラえもんブームが最高潮となりました。
そして、「ドラえもん」の映画化の話が出ていました。しかし10分で一話完結として放映されていたので、映画という長い尺で放映するには、それまでとは違う趣向を取り入れる必要がありました。

この時「藤子・F・不二雄」先生が選んだ作品は、てんとう虫コミックスの第10巻に収録されていた「のび太の恐竜」でした。

この「のび太の恐竜」では、「ドラえもん」や「のび太たち」に、日常の枠を飛び出して思いっきり活躍させてあげることができて、とても嬉しくて楽しかったようです。
日常生活から離れて「のびのび」と活動して、大冒険をする「ドラえもんたち」や、白亜紀の恐竜たちの描写は、とても良いと評判でした。

なお、最初先生は、「長編ドラえもん」をシリーズ化するつもりは全くなかったようです。

主題歌「ポケットの中に」

その後、毎回長編では、最初に少し大仕掛けな舞台を設定しておいて、そこで「ドラえもんたち」を活躍させることにしました。結果的に「この趣向」は、大成功に繋がりました。

また、映画ドラえもんシリーズの評価を一段と高めたのは、「武田鉄矢さん」が作詞された主題歌にありました。先生が亡くなるまで、16作の主題歌を作詞されました。
特に「のび太の恐竜」の主題歌「ポケットの中に」は、「ドラえもん」の夢に満ちた大冒険の世界を、親しみが湧く歌詞で表現しています。

この「ポケットの中に」は、その後の映画でも何度か使われており、ドラえもん映画には、なくてはならない存在になりました。