副作用が少ない、便秘の漢方薬

漢方薬

便秘に「お悩みの方」の中には、市販の薬を積極的に使いたくないと思っている方がいる、と聞きました。確かに薬ばかり飲んでいると、かえって症状が悪化するかも?と不安になったりするでしょう。
そんな時は漢方薬がいいかもしれません。東洋医学の薬である漢方薬は、西洋医学の薬よりも副作用は少ないとされているからです。

一般的に便秘とは、3日以上排便がない状態を指しますが、便秘の原因や症状は人それぞれです。
西洋医学では、便秘の原因に応じて下剤などを使って排便を促すのが一般的です。しかし漢方医学では、一人ひとりの体質や全身状態、便秘の原因に応じて漢方薬を選びます。

便秘のタイプ

漢方で考える便秘のタイプは、大きく分けて3タイプです。

熱タイプの便秘

体がいつも熱くて赤ら顔、口がよく渇いていて口臭がある、尿の色が濃い、冷たいものを好むという傾向がある人の便秘です。

寒タイプの便秘

手足が冷たい人、たまに腹痛があるが温めると楽になる、口の中が乾かない、夜の排尿で頻繁に目が覚めるという人の便秘です。

虚タイプの便秘

「気持ち」が沈みがちの人、体液の成分が不足している高齢者、顔色が悪い人や頭がフラフラしている人などに多い便秘です。

漢方薬の使い分け

便秘の原因や症状は、人によって異なります。
漢方では、便秘の人の体質やその時の全身状態、便秘の原因などを考慮して薬を選びます。

漢方の便秘薬にはいくつもの種類がありますが、最も一般的なものは大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)でしょう。いくつかの症状が重なっていて、一つのタイプに決められない人によく使われます。
なおこの薬は、体力がある人に向いている薬と言われています。ただし冷え性の人が使うと、腹痛を起こすことがあります。ご注意ください。

ちょっと体力に自信のない人(体力が落ちている人)には、大建中湯(だいけんちゅうとう)という漢方薬が向いていると思います。

どちらかと言うと体力のない人には、潤腸湯(じゅんちょうとう)を使います。
体液成分が不足している高齢者や、顔色が悪い、頭がぼーっとしている人の便秘治療に使用されます。このような症状を持つ人は、虚タイプの人です。

子供には小建中湯(ちょうけんちゅうとう)、高齢者には麻子仁丸(ましにんがん)が良いでしょう。

熱タイプの人の便秘には、三黄散(さんおうさん)を使います。
熱タイプの人とは、赤ら顔、いつも体が熱っぽい、口がよく渇く、口臭がある、尿の色が濃い、冷たい食べ物を好むなどの傾向がある人です。
三黄散には、大黄、黄苓、黄連という三つの薬が配合されています。

寒タイプの人の便秘には、桂枝加芍薬薬黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)を使います。
寒タイプの人とは、手足が冷たい、時々腹痛があるが温めると治まる、口が渇かない、夜間の頻尿がある人です。

以上は、漢方便秘薬の大まかな使い分けになります。人それぞれ便秘の症状は違うので、専門医にどの漢方薬が自分に合っているか、診断してもらうようにしてください。

最適な漢方を服用しましょう

漢方薬の市販品で便秘解消向けの物は、大黄(だいおう)という成分を使っている物が多いようです。この成分は、それなりの効果を期待できます。ただし、効き目が強すぎる場合もあると聞きます。
例えば高齢者の方や体が弱い方がこの成分を摂取すると、体力の低下に繋がる可能性があるそうです。

専門医には、ご自身の便秘の状態や体調などを正確に伝えましょう。便秘に効果のある漢方薬は、たくさんあります。その中から、ご自身の症状や体質に最適な漢方を見つけるには、正確な情報が必要だからです。

市販品の漢方薬を購入する際も、専門医(薬剤師)と相談の上で選ぶようにしてください。